FACULTY
薬学科
私の母は薬剤師であり、母の母校は北海道科学大学薬学部(旧:北海道薬科大学)です。
幼い頃から、母が北海道で過ごした大学生活の思い出話をたくさん聞かせてくれたこともあり、大学進学を考える頃には「自分も北海道で大学生活を送りたい」という思いが強くなっていました。薬剤師という職業に憧れるようになったのも、母の影響が大きかったです。仕事での経験談や、女性として国家資格を持つことの強み、そして薬剤師が活躍できる幅広い分野について知るうちに、その魅力に惹かれていきました。
最終的に本学への進学を決めた大きなきっかけは、高校2年生の終わりに、母がくも膜下出血で数ヶ月入院したことでした。その時期は、ちょうど進路を本格的に考える時期と重なっていました。家族への負担を少しでも減らしたいという思いから、センター試験や複数校の受験を避け、AO入試で早期に進路を決定する方法を選びました。
この選択によって、両親に安心してもらえると同時に、北海道の大学で学びたいという自分の夢も実現できると考えました。
薬剤師としての1年目は、札幌市内の急性期中規模総合病院に勤務し、薬剤師としての基本的な姿勢や業務の進め方、病棟薬剤師業務のイロハを丁寧に教えていただきました。同年に結婚し、2年目は夫の転勤に伴って稚内市の市立病院へ転職。公務員としての勤務形態や、地方の中核病院における薬剤師の役割を学び、尊敬できる上司との出会いを通してマネジメントや危機管理についても多くの学びを得ました。この年には胆振東部地震による大規模停電も経験し、病院全体が一丸となって有事対応に尽力したことは、忘れられない経験となっています。
3年目も再び夫の転勤に伴い、函館市の内科?リハビリテーション科を有する中規模病院に勤務しました。同僚にも恵まれ、業務改善や効率化に向けた提案を行うなど、新人から一歩踏み出した働き方ができるようになったと感じています。この病院では、プライマリ?ケア認定薬剤師の資格取得に向けて、最終ステップである「診療見学」の単位取得を、同病院の医師の指導のもとで開始しました。
4年目は、寿都町にある周辺自治体で唯一の調剤薬局にて、外来調剤と地域との関わりを一から学ぶための「修行」の1年となりました。学生時代に薬局見学で訪れた際に出会った薬剤師の方が、私が「へき地医療」に興味を持つきっかけとなった方であり、その方の元で働くことができたのは、非常に貴重な経験でした。
5年目からは、現在も勤務する猿払村の自治体医療機関で1人薬剤師として勤務しています。2024年には、稚内市での勤務時代のご縁から、北海道科学大学薬学部の学生実習において地域単位の受け入れに関わらせていただきました。これまでの経験が形となって実を結びつつあることを実感し、今後も地域医療に貢献できる薬剤師でありたいと考えています。
薬剤師は、医師の処方に対して医療従事者の中で唯一、法律に基づいて「待った」をかけることができる存在です。
つい先日、小児用の粉薬について、本来の100分の1というごく少量で処方されていたケースがありました。お子さんの症状が再び悪化してきたことを心配された欧洲杯买球官网_澳门金沙城中心赌场-投注|平台の方から相談を受け、対応にあたりました。薬剤の適正量や病状、治療ガイドラインを調べたうえで、医師にも相談?確認を行い、適切な処方へとつなげることができました。すべての対応が終わった後、欧洲杯买球官网_澳门金沙城中心赌场-投注|平台の方から「迷ったけれど、勇気を出して相談して良かった。本当にありがとう」との言葉をいただき、薬剤師を続けてきて本当に良かったと心から思いました。
薬剤師の業務は、小児の細かな用量確認や、多忙な医師との連携による入院患者の薬剤調整?変更の把握、供給不足が続く中での薬剤の安定確保など、多岐にわたります。その中で、職場のスタッフと協力し合い、互いの得意分野を活かしながら「お互い様」の精神で支え合えることは、この仕事の大きな魅力のひとつだと感じています。そして何より、人の役に立っているという実感を日々持てる、誇りある職業だと考えています。
私は、あまり一般的とはいえない、少し珍しい学生生活を送っていたかもしれません。
2年生の時に「機能形態学」という解剖学に関する授業に強い関心を持ち、その授業を担当していた先生の研究室に自らお願いして出入りさせていただくようになりました。4年生になるまで、研究室の先輩方に教わりながら、ラットやマウスなどの実験動物を扱う研究に関わらせていただき、貴重な学びを得ました。
3年生からは、病院?調剤薬局?ドラッグストアなど、さまざまな職場見学に積極的に参加し、北海道で薬剤師として働く上でどのようなフィールドに進みたいかを考える機会を重ねました。その中で、後に1年間勤務することになる寿都町の薬剤師の方と出会い、へき地医療やプライマリ?ケア薬剤師に興味を持つようになりました。
5年生では、選択した研究室の先生が地域医療の分野に詳しく、夏休み中に地方の職場見学の機会を作ってくださり、実際に1週間、寿都町の薬局に見学へ伺うことができました。
振り返ってみると、多くの先生方や仲間との素晴らしい出会いに恵まれ、興味を持ったことにどんどん挑戦させていただきながら、将来について深く考えることができました。そして、生涯の友人とも出会えた、かけがえのない大学生活だったと感じています。
地方の広々とのどかな土地に戸建てを建てるという長年の夢を叶え、スタンダードプードルを2匹飼い、ドッグランに連れて行くなど、犬たちとの時間を楽しんでいます。
夫が当直でない週末には、近隣の観光地へ足を伸ばして、毎月旅行に出かけています。
また、定年後悠々自適な生活を送る母とは、年に一度海外旅行に行くのが恒例です。今年はフランスを訪れ、モン?サン?ミシェルやベルサイユ宮殿を観に行きました。次はイギリス旅行を計画しているところです。
私は、猿払村や周辺の宗谷地区において、持続可能な医療体制を地域住民に提供できる仕組みづくりに貢献したいと考えています。医師や看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、医療事務などの医療専門職の確保は非常に困難であり、特に宗谷地域は広大な土地と冬季の厳しい環境が重なって、周辺自治体も含めて深刻な状況が続いています。現在は限られた人員で何とか凌いでいるものの、専門職の有無に左右される現状を脱却する必要があります。
そのため、オンライン診療や看護助手の導入、検査業務の外部委託など、時代の変化に柔軟に対応しながら持続可能なシステムを構築していくことが重要だと考えています。さらに将来的には、近隣自治体との協力体制を強化し、宗谷地域全体の医療を支え合う仕組みへとシフトしていかなければ、この地域の医療は今後の課題を乗り越えられないと考えています。
薬剤師という職業は、病院や調剤薬局、ドラッグストア、公務員、製薬企業など、多様なフィールドで活躍できる点が大きな魅力です。また、ライフステージや環境の変化に応じて再就職しやすいという強みもあります。
もちろん、勉強はしっかり頑張る必要がありますし、大学を卒業するまでの学費も決して少なくありませんが、それらの負担を補って余りある、一生ものの資格を手に入れられるのが薬学部です。変化の激しいこれからの時代において、大いに自分を支えてくれるでしょう。これから進路を考える皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。
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