レチノールとは?期待できる効果やポイント?注意点



この記事について
レチノールは、ニキビやシワ、シミといった肌の悩みに効果が期待できる、ビタミンAの一種です。
化粧品の配合成分として耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
あらゆる肌トラブルに効果が期待できるとされるレチノールですが、種類によっては肌に与える影響が強いため、使う際に注意が必要な場合もあります。
今回は、レチノールに期待できる効果や使い方のポイント、使用上の注意点など、レチノールについて詳しく解説していきます。
このコラムは、私が監修しました!
准教授鈴木 夏子Suzuki Natsuko食品科学 栄養学 健康科学
私は、経口抗がん薬と食品成分の併用が腸管?口腔免疫機能に及ぼす影響を研究し、がん治療における免疫予測マーカーの臨床応用を目指しています。
特に、免疫グロブリンA(IgA)や抗菌ペプチドを指標に、食-薬間相互作用のリスクとベネフィットを総合的に評価し、治療への応用に取り組んでいます。
また、食品科学と医療をつなぐ研究を推進し、未病学の観点からの貢献も視野に入れています。
こうした研究を通じて、食と健康の関係を明らかにし、健康や美容に関わる栄養素の働きを科学的に検証しています。
栄養成分がどのように身体へ作用するのか、適切な摂取や活用法についても、科学的視点から発信していきたいと考えています。
目次
レチノールとは
レチノールはビタミンAの一種。
皮膚の真皮層ではコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった肌のうるおいを保つ成分の生成を促します。
また、肌表面の表皮では細胞のターンオーバー(新陳代謝)を促進する役割もあるため、シミや毛穴トラブルが目立ちにくくなる効果も期待できるといわれています。
ビタミンAには皮膚や粘膜、目などの健康を維持する役割がありますが、体内で合成されないため、食事や化粧品などから意識して取り入れる必要があります。
レチノールにはいくつかの種類があります。
種類 | 効果 | 肌への刺激 | 医薬部外品への表記 |
レチノール誘導体 | 穏やか | 弱い | 「パルミチン酸レチノール」 「酢酸レチノール」 |
純粋レチノール | 中程度 | 中程度 | 「レチノール」 |
トレチノイン (レチノイン酸) |
強い | 強い | 医薬品のみ (処方箋が必要) |
レチノール誘導体は効果が穏やかで刺激も弱く、自宅でのセルフケアでも扱いやすいのが特徴です。
より効果を感じやすいのが純粋レチノールですが、レチノール誘導体に比べ肌への刺激もやや強くなります。
レチノール誘導体と純粋レチノールは医薬部外品や化粧品への配合が認められており、薬局やドラッグストアなどでも手に入れることができます。
一方、トレチノインは肌に与える影響が強いため、皮膚科やクリニックなどの医療機関でのみ処方される医療用医薬品に分類されています。
レチノールに期待できる効果

美容成分としてのレチノールは、ターンオーバーを促進したりコラーゲンの生成を促したりする役割から、さまざまな効果をもたらします。
レチノールが与える肌への影響や効果を見ていきましょう。
シミ?くすみの改善
シミやくすみは、肌が紫外線から自らを守るために生成するメラニン色素が、ターンオーバーで排出されずに蓄積してしまうことで目立ちやすくなります。
レチノールは、ターンオーバーを促して肌の生まれ変わりをサポートし、古くなった角質とともにメラニンを含む肌細胞がスムーズに排出されるよう助けます。
その結果、シミやくすみが目立ちにくくなる効果が期待できます。
シワ?たるみの改善
シワやたるみが目立つ大きな原因は、紫外線や加齢によってコラーゲンやエラスチンなど、肌にハリを与える成分が減少すること。
レチノールにはコラーゲンやエラスチンの生成を促す役割があるため、シワを目立ちにくくしたり、肌にハリを与えたりする効果が期待できます。
毛穴の開きやたるみの改善
毛穴トラブルの原因は肌のハリが失われることにあります。
ハリが減少すると毛穴が開き、肌のたるみとともに毛穴もたるんでしまうのです。
レチノールは肌にハリと弾力を与えてくれるので、開き毛穴やたるみ毛穴を改善?予防する効果も期待できます。
ニキビや肌荒れの予防
レチノールは皮脂の分泌量を抑える働きもあるため、ニキビ予防としても効果が期待できます。
また、ターンオーバーを促進することから、目立つニキビ跡のケアのためにもよく取り入れられます。
レチノール配合の化粧品を使用する際のポイント?注意点
レチノールはハリと弾力のある肌を目指すのに効果的な成分ですが、肌への影響が強いため、使い方を守らないと肌トラブルにつながる可能性もあります。
特に、レチノールの使用を始めたばかりのときや、高濃度のレチノールを使用した場合、「レチノイド反応」が起こることがあります。
これは、レチノールが急激に作用することで生じる一時的な肌の赤みや皮むけ、乾燥などの症状です。
レチノイド反応は「A反応」や「ビタミンA反応」と呼ばれることもあります。
この反応はレチノールの濃度が高いほど強くなる傾向があるため、医師や専門家の指導を受けて使うことが大切です。
次にご紹介する注意点も参考にしてくださいね。
パッチテストをしてから使い始める
レチノールを使うのが初めてなら、パッチテストでどのような刺激があるか試してからスキンケアに導入するのがおすすめです。
顔の中でも目や口のまわりは皮膚が薄く、刺激を受けやすい部分です。
刺激が心配な方は、耳の後ろなどに化粧品を少量を塗り、赤みやかゆみなどの症状がでないかどうかを確認するパッチテストを事前に行い、異常が認められた場合は使用をやめましょう。
保湿ケアをしっかりする
レチノールを使うと、肌が乾燥しやすい状態になることも。
乾燥すると、肌を外部の刺激から守る機能が低下してしまうので、しっかりと保湿しながら使うのがポイントです。
保湿効果の高い成分には、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどがあります。
これらの成分を含む基礎化粧品を併用するのがおすすめです。
紫外線対策をする
レチノールによってターンオーバーが促進されて新陳代謝が良くなると、皮膚表面の角質層が薄くなるため紫外線に敏感になることがあります。
紫外線によるダメージを避けるためにも、日焼け止めを塗ったり日傘や帽子を使って日差しを避けたりして、紫外線対策を徹底しましょう。
実際に、レチノール配合の化粧品の中には夜のスキンケアでのみ使用が推奨されているものもあります。
使用方法をしっかり確認してから使いましょう。
レチノールは紫外線によって分解されやすく、劣化する可能性があります。
直射日光を避け、冷暗所で保管しましょう。
生理前や妊娠?授乳中の使用は控える
レチノールは美容への高い効果が期待できますが、そのぶん肌への負担が大きくなってしまうことも。
肌が敏感になる生理前などは使用しないようにしましょう。
特に妊娠中や授乳中には、健康への影響が懸念されるため、自己判断での使用は控え、必ず医師に相談してください。
使用上の注意を必ず守る
レチノールは刺激が強いため、週1回など少ない回数?量からスタートし、徐々に使う回数?量を増やしていくことを推奨している商品も多いです。
商品ごとにレチノールの配合量は異なるため、使用上の注意をしっかり確認し、回数?量を守って使用しましょう。
また、レチノールの効果をしっかり発揮させるためには、塗る順番も大切。
こちらも商品によって推奨するスキンケアの順番が異なるため、確認して使ってくださいね。
レチノールとは肌にハリと弾力を与える美容成分!使い方には注意しよう
レチノールはビタミンAの一種で、美容成分としてはシミやシワ、毛穴トラブルやニキビなどをケアする効果が期待できます。
肌への影響が強いぶん、刺激もあるため、どのような影響が出るかパッチテストをしてから使い始めましょう。
レチノールを使用している間は保湿と紫外線対策を徹底し、生理前や妊娠中?授乳中には使用を控えることが大切です。
量や回数など、使用上の注意も必ず確認してくださいね。
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